とうとう9月末、長女の染色体検査の結果が出て、医師から夫婦そろって呼ばれました。
「検査の結果、お子さんは染色体の21番目に異常がある『21トリソミー』、別名『ダウン症候群』といって知的障害をともなう先天的な病気です。
また、この病気に多い合併症として心臓にも異常があります。お子さん場合は、『心内膜床欠損症』といい、心臓の右心室・左心室、右心房・左心房に仕切りが欠損しています。
今の状態は、血液が肺の方へ流れ込んでいってしまっているために、肺高血圧症を併発し、極めて危険な状態です。
できれば早急に手術をしなくてはいけないのですが、ただ現時点においてはまだ体重が2千グラムしかないので手術は無理で、もう少し体重が増えてから行います。」
私達は、重大な宣告を受け、どうなってしまうのだろうと不安で一杯でした。
また、偶然にもこの病院は、父が入院している病院でした。
それからというものは、妻は長女(名前は「友貴」と名づけました。)の付き添いとして病院に寝泊りし、母は父の病室に寝泊りするという、私以外は2世代そろっての病院生活が始まったのです。
幸いにも、同じ病院の病棟違いでしたので、私は朝の出勤前と夜の勤務後に、両方の病室に顔を出すことができました。
こんなことになるとは夢にも思っていなかったので、友貴出産の1ヶ月前の7月に、分譲住宅をローンで購入する契約をしてしまっていました。引っ越し日が入院生活の時期と重なってしまい、荷物整理も一人むなしいものとなりました。
そんな中、入院3週間後の10月中旬に父の手術は行われ、とりあえず無事成功しました。
私達夫婦は昨年の11月に結婚し、もうすぐ1周年を迎えようとしておりました。
結婚披露宴の御礼あいさつの中で私は、「人生は楽あれば苦あり、苦あれば楽あり。涙の後には虹が出ます。
生きていく中で色々な壁があると思いますが、どんな時も夫婦力を合わせて一つひとつの壁を乗り越えて虹を見たいと思います。」という自分で言ったスピーチのことを、一人になるとは思い出していました。(つづく)
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